Life is wonderful🌏˚✧

2019.04,13~ AUS Brisbaneにてワーホリスタート。初海外0からの挑戦でワーホリへ。天職である保育教諭を退職し、25歳にして初めて地元宮崎を飛び出し、未知の世界に飛び込んだAyumiの波乱万丈になるであろう日々の記録。子ども達の夢の選択肢を広げたい。〜全ては子ども達のために〜

( ⚯̫ )たかぴ VS ハンツマン🕷by Takayuki

私はクモが怖いです。

 

小学生の頃からクモに対する恐怖心は

並大抵のものではなく、

クモの糸を発見するだけで、

心臓が縮み上がる思いをする。

それ程クモは私にとって

恐ろしい存在なのです。


まだ私が小学生の頃、

父はクモを発見する度に怯える私を見て

よく言いました。

「クモは益虫なんだ。

クモがいないと虫がもっと増えるんだぞ」

そんな正論が子供に通じるはずもなく

クモのその強烈な見た目は

いとも簡単にその正論の腰を折りました。

 

兎にも角にも、恐ろしいのです。
クモの巣を見掛けるだけで血の気が引く。

そんな恐怖心と警戒心が功を成し

彼らからの物理的被害を被ることのないまま

私は生活を続け、20代も半ばになった頃

ふと思ったのです。


なぜ私はこんなにもクモを恐れているのか。
素朴な疑問が頭に浮かびました。


そして考えた結果、以下3つの要因により

恐怖心を抱いていることが分かりました。

 

1.見た目のグロテスクさ
2.クモの生態への無知
3.巣を張り空中に存在していること

 

以上が私の恐怖心を刺激している原因だと

考えました。

 

 

1つ目の要因は感性によるものなので

どうにも対処できません。

 

2つ目の要因は、

人が幽霊を怖がる理由と同じです。
わからないから怖いのです。
生態を知ることができれば、

恐怖心は軽減されると考えました。

 

3つ目の要因は気付くまでに

時間がかかりました。
巣を張って空中にいるという事実が

私にとっては不気味で

不愉快なのだと気付いたのです。


そして、1つ目と3つ目の要因は

自分のコントロールでは

どうにもならないことから諦め、

2つ目の要因は自分で対処可能だと考え

クモの生態を調べていくことにしました。

 

するとどうでしょうか。

詳細は割愛しますが、

クモは地球の生態系にとって

必要不可欠な存在であることがわかり、

クモの存在に対して

寛容な心を持つことができたのです。

 

 


そして時は流れて渡豪するときのことです。

色々とオーストラリアについて調べていると、

オーストラリア大陸には

世界最大級の大きさを誇る

”ハンツマンスパイダー”と呼ばれるクモが

いることがわかりました。

 

ショッキングな見た目なので

写真を掲載することは避けますが、

その見た目はフェイスハガー

(映画エイリアンに登場するエイリアンの幼体)

の様な風貌であり、我々を瞬時に

恐怖のどん底に突き落とす

破壊力を持つクモなのです。


もちろん私はこのハンツマンスパイダーの

生態についても調べました。

万一にもこのクモと遭遇したら

パニックは避けられないからです。


調べた結果、そのおぞましい見た目とは裏腹に

彼らの存在は全く恐れるに値しない、

むしろ人間の味方であり頼れる存在

だということが判明したのです。

 

その生態を簡潔にまとめると

・家グモであり、巣は張らない
・ゴキブリ等の害虫捕食を得意としている
・害虫を絶滅させると次の家へ移動し、

    害虫駆除を再開する
・人に対しては謙虚で、むしろ臆病な性格を持つ
・人を噛むことは極めて稀

    (孵化前の卵を抱えたメスや

     しつこくちょっかいを出した場合は

     噛まれることもあるが、無毒)


以上の生態からわかるように、

彼らはゴキブリ駆除のプロフェッショナルであり、

人間には危害を加えないという

謙虚さを持ち合わせているいわば

必殺仕事人なのです。

(Huntsman spider、文字通り狩人の意味。

日本にも似たような個体がおりアシダカグモ

通称軍曹と呼ばれている)


その生態を知ることにより、

私が渡豪するにあたり抱いていた

ハンツマンスパイダーへの恐怖心は

軽減されました。

 

 

 

 

そして時は数日前。
バスルームへ入り用を足していると、

なにやら見慣れない物体が視界に入り込み、

それが何なのか認識するや否や

私に恐怖の稲妻が落ち、

頭の中は真っ白になりました。


そこにはこげ茶色をした

手のひらサイズのハンツマンスパイダーが

私の足元から数十センチの距離にいたのです。


そうです。大のクモ嫌いの私は遂に、

ここオーストラリアで世界最大規模の大蜘蛛と

対峙してしまったのです。


私の身体は瞬時に凍りつき、

思考は停止しました。


謙虚な必殺仕事人とはいったものの

見た目は化け物。エイリアンの幼体なのです。


ただ彼も彼で、全く動きを見せません。

恐らくハンツマンの性格上私に怯え、

ことの成り行きを伺っていたものと考えられます。

十数秒の沈黙の後、

少し考える余裕を取り戻した私は

ハンツマンスパイダーの生態を

思い出そうと奮闘し、頭の中で唱えました。

(彼はただゴキブリ駆除をしに

ここへやってきただけなんだ。

彼も私を恐れている。

仕事が終わればそっと他所へ行く。)

 

 

凍りつきながら彼の生態を思い出していると

次第に恐怖心が薄れていき彼を横目に

そのまま用を足すことができました。
それを悟ったのか、彼も彼でゆっくりと

動き出し便器の裏へ向かっていきました。

 

そのときの彼の足取りは、

まるで寝ている人を起こさないように

そーっと歩く人の様であり、

調べた通りハンツマンスパイダーは

謙虚な生き物であり、私をこれ以上

怖がらせないようにという

配慮すら感じました。

 

そんな彼はこうも言っているような

気がしました。


「驚かせてごめんなさい。

    これ以上驚かせない様に

    こうしてゆっくりあなたの視界から

    外れます。ほら、ゴキブリみたいに

    急に動いて急に止まらないでしょ?

    ですからあなたもこれ以上

    怖がらないでください。

    このままゆっくり身を隠しますから。

    これが本当の雲(蜘蛛)隠れ(笑)。

    それでは失礼致します。」


彼はこう語りながら便器の裏へ

ひっそりと隠れたのです。


彼がその足取りで語った言葉のおかげで

私はなんとかパニックを起こさずに

バスルームを後にすることができたのです。


生まれ持った容姿が醜いばかりに

人々から気味が悪いと騒がれ、

殺されてしまうこともある彼ら。
彼らの生態を思うと不憫でなりません。


ハリーポッター秘密の部屋の、

蜘蛛を追いかけるシーンでロンも言っています

「どうしてよりによって蜘蛛なの?

    蝶々じゃだめなの?」と。

 

 

彼との遭遇の後に、彼がそっと

バスルームから出ていけるように

ドアを少し開けておきました。

 

翌朝、バスルームを隈なく捜索すると

彼の姿は無くしっかりとドアから出ていき

別の場所へ移動したものと考えられます。


なんと謙虚な生き物なのでしょうか。


皆さんにお願いです。
どうかハンツマンやアシダカグモ

遭遇した場合はそっとしておいてください。
彼らが家に出るということは、

ゴキブリが近くにいるということを

意味しています。
彼らはゴキブリを家から根絶やしにし、

その後は静かにあなたの家を去る

孤高の害虫駆除業者なのです。

 

私がハンツマンスパイダーの生態を調べず

知識を得ていなければ、

今回私はパニックを起こしていたことでしょう。

 

そして今回のハンツマンとの遭遇で

私は気付きました。


知識とは、実践で活かされて初めて

その価値を発揮すると(黙れ)


皆さんもなにか恐怖を抱いているものがあれば

その原因を追求し、それについての知見を

広げてみてははいかがでしょうか?(黙れ)

恐怖心が軽減するかもしれません。


その晩私がみた夢は、ダウンタウンの2人と

談笑し爆笑している最中

ハンツマンスパイダーが松本人志の肩に落ちてきて

皆んなが大パニックに陥る、というものでした。


彼らには金輪際私の前に姿を現せないで欲しいと

切に願うばかりです。

 

-THE END-